Blood Tear
家屋の扉を開けると、リオン達3人の笑い声が耳に入ってきた。
年が近い3人は話が合うのか楽しそうに騒いでいる。
「ただいま~っと」
抱えていた荷物を置くと騒いでいたイースが駆け寄ってきた。
「うわぁ~、凄い量ですね。あ!ブリオッシュがありますよ、リオン様!」
袋の中を物色しながらパンを取り出し喜んでいる。
彼女の声に歩み寄って来たリオンはコウガ達にねぎらいの言葉をかけ頭を下げる。
すると、眼帯をする彼の傍にシェイラが駆け寄った。
「リオン様、その左目……直ぐに治癒します」
膝を折るシェイラは左目に手を翳すが、その手をリオンは両手で掴み彼女を止めた。
「気遣いありがとうございます。ですが、もういいんです。もう、この瞳は必要ありませんから」
「リオン様……」
どこか吹っ切れたようなその笑顔。
シェイラは彼のその笑顔に気づき、安心したように彼を見つめると治癒するのを止めた。
「ん?何か人数が増えておらぬか?」
「2人は俺達の知り合いのシェイラとレグル。悪い人ではないから」
「そうか。別に構わぬが、君の周りには面白い者達が集まるのだな」
腕を組み疑問を投げかけたセルビア。
コウガは彼等の紹介をすると、彼女は悪戯な笑みを零す。
「処でコウガ、お前あんな事言って良かったのか?」
「え?あぁ、ごめん、勝手に決めてしまって」
椅子の背もたれを抱くように座るレオン。
パンを片手にコウガに問う。
彼は先程コウガが女性に言った言葉について訊いているようだ。
明日の早朝此処を出ると言ったものの、それは勝手に自分が決めた事。
皆に意見も訊かずあの女性に言ってしまったのである。