Blood Tear
声をかけた男性は更に言葉を続ける。
「俺達にとってあんたは家族も同然。だからさ、何時でも戻って来てくれよ、この村に。
辛い思い出ばかりの所だろうけどさ、俺達は待ってるから、あんたの帰りを、ずっと待ってる」
彼等の暖かい言葉に涙を流しそうになったリオン。
そんな彼のその手をそっと握るイースに励まされ、彼は涙を堪え満面の笑みを彼等に向けた。
「ありがとうございます、皆さん。こんなに沢山の人々に愛されて、僕はなんて幸せ者なんでしょう。
僕はこの村が大好きです。だから、必ず此処に戻ってきます。幸せな時を過ごした、この思い出の地に」
今まで見る事のできなかった彼の心からの笑顔。
その笑顔を瞳に映し、村人達は微笑み涙す。
「イース、リオン様を頼んだよ!」
「お任せ下さい!リオン様はイースが護って見せます!」
村人達に声をかけられ、堂々とした態度でイースは胸を張る。
その姿に村人達も、リオンも、コウガ達も笑みを零すのだった。
一時の間この村を離れる事にした彼は深々と頭を下げ、村人達の姿を目に焼き付けると村を後にする。
朝陽に照らされる彼の後ろ姿は、どこか少し大人びてみえた。