Blood Tear
「彼等を消すよ」
「あ?」
「あら、豪速球」
「出たよ爆弾発言」
「大変な事になりそうだね」
短くまとめたその言葉に様々な反応を見せる彼等。
スティングだけは冷静に対象する。
「消すってどういう意味だ」
「そのままの意味だよ。僕等にとって彼等は不要。邪魔をする前に片付けておくのさ」
「今まで躊躇っていたお前らしくもない」
「人は変わるものだよ、スティング。昔の僕は、もう居ない」
「ライア……」
低い声で言うライアのその言葉に追求するのを止める。
すると彼は脚を組み直すと皆を見渡した。
「ま、そう言う事だから、皆宜しくね」
投げやりで他人任せな彼だが、彼等はその言葉を待っていたと嫌味に微笑んだ。
「彼女には手を出さないで下さいね?彼女は私の旋律上で美しくも残酷に舞ってもらう、悲劇のヒロインなのですから」
楽譜の隙間から一枚の写真を取り出すと、近くにあった蝋燭にかざし燃やし出す。
灰となる写真を見つめるその瞳は美しくも恐ろしく、彼女の歪んだ心が現れているのであった。