Blood Tear


 「彼等を消すよ」


 「あ?」
 「あら、豪速球」
 「出たよ爆弾発言」
 「大変な事になりそうだね」


短くまとめたその言葉に様々な反応を見せる彼等。


スティングだけは冷静に対象する。




 「消すってどういう意味だ」


 「そのままの意味だよ。僕等にとって彼等は不要。邪魔をする前に片付けておくのさ」


 「今まで躊躇っていたお前らしくもない」


 「人は変わるものだよ、スティング。昔の僕は、もう居ない」


 「ライア……」


低い声で言うライアのその言葉に追求するのを止める。


すると彼は脚を組み直すと皆を見渡した。




 「ま、そう言う事だから、皆宜しくね」


投げやりで他人任せな彼だが、彼等はその言葉を待っていたと嫌味に微笑んだ。




 「彼女には手を出さないで下さいね?彼女は私の旋律上で美しくも残酷に舞ってもらう、悲劇のヒロインなのですから」


楽譜の隙間から一枚の写真を取り出すと、近くにあった蝋燭にかざし燃やし出す。


灰となる写真を見つめるその瞳は美しくも恐ろしく、彼女の歪んだ心が現れているのであった。









< 242 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop