Blood Tear
無表情で空を見上げる彼女。
綺麗な銀髪を風で揺らす中、何かに気付きフェンスから飛び降りた。
「逃げなくてもいいじゃないですか。そんなに私の事が嫌いですか?」
振り返ると、フェンスの向こうに居るジークと目が合った。
「…あぁ嫌いだね、大嫌いだ……」
「そんなに正直に言われると、私でも傷つきますよ」
彼を睨み言うクレア。
ヘラヘラ笑うジークは傷ついているようには全く見えない。
あまり彼と関わりたくないクレアは立ち去ろうとするが、フェンスの隙間を通過した彼の手に腕を掴まれそれを拒まれる。
苛立ちを覚えながら振り返ると、目の前に突き出されたチョコレート。
拍子抜けな顔をする彼女だが、それを奪おうと手を伸ばす。
だが、触れるか触れないかギリギリの位置にあるそれは掴めない。
悪戯な笑みを浮かべ揺らしてみせる彼は遊んでいた。
「この糞道化師が……」
汚い言葉を吐き闇夜に浮かぶ赤い瞳で睨むその姿は見ものだった。