Blood Tear
生きろだなんて、死ぬななんて、一度だって言われた事はない。
そんな言葉、縁のない言葉だと思っていた。
なのに彼はこんな私にすら優しく声をかけ、手を差し伸べてくれる。
そして彼等は何も聞かず、只見守ってくれた。
こんな気持ちを抱くなんて、思いもしなかった。
彼等の傍に居たいなんて、そんな気持ちを抱くなんて…
「…約束だぞ……」
「え……?」
「私を救ってくれるんだろ?」
「あ、あぁ」
遠慮がちに首を傾げ訊く彼女。
サラリと揺れる銀髪に見とれながらも彼は頷いた。
「なら私は、貴方を護る為に生きるよ」
「え?俺を護る……?」
「…貴方に死んでもらっては、困るから……」
「クレア……」
彼を見上げ少し頬を染め微笑む彼女。
何時も無表情で無関心。
そんな彼女の今まで見たことのなかったその笑顔。
こんな表情もできるのかと、微笑ましくなった彼は眩しそうに目を細め、暫く彼女を見つめるのだった。