Blood Tear
「ちょっと待て……!」
突然の事に驚くが、それを難なく交わし腕を掴むと器用にナイフを奪い取る。
そして手の届かない所へ放り投げ、音を立て闇へと消えるのを見送った。
「…っ……」
「おい、どうした?」
攻撃を交わされたその人物はバランスを崩し、そのままレグルにもたれかかる。
倒れてきたその人物を支えるが、彼は何かに気づき眉を潜めた。
「…血……?」
生暖かい液体に触れた掌を見つめ言葉を漏らす。
よく見ると、ローブは所々切り裂かれべっとりと血がついている。
何か嫌な事に巻き込まれるような、そんな予感が頭をよぎる。
しかし、お人好しなレグル。
彼は面倒臭そうに溜め息を吐きながらも、気を失っているその人物を軽々と肩に担いだ。
そして静かに玄関の扉を開くとリビングへと運ぶ。
あまり振動を与えないよう気をつけながら、その人物をソファーに寝かせるのだった。