Blood Tear
仄かな灯りを点す中、その灯りを頼りに階段を登るレグル。
そっと足音を忍ばせ二階へとたどり着くと、ある部屋の扉を控えめに叩く。
返事は帰ってこなかったが、その扉は少し開き、隙間から中の人物が顔を覗かせた。
「すまない、夜遅くに」
「…レグル……?どうかなさいましたか?」
深夜に訪れた訪問者を確認し、姿を現したのはシェイラ。
首を傾げ揺れた長い髪からは石鹸の良い香りが漂い鼻をくすぐる。
「頼みがある。今晩傍に居てくれないか?」
「え?」
唐突な言葉に驚くシェイラ。
微かに頬を染めるのは気のせいか。
「な、どう言う――」
「良いから来てくれ」
レグルは彼女の反応を気にする事なく、腕を掴むと階段を降りて行く。
腕を引かれ彼の後を追うシェイラは戸惑いを隠せない様子だったが、彼の身体に付着する液体を目にした瞬間目を細め、一瞬の内に冷静になった。