Blood Tear


 「彼はさ、僕が一番信頼を置く人物なんだ。だからさ、他の奴等はどうなっても構わないんだけど、彼だけはそう簡単に失う訳にはいかない」


何処か悲しそうに言う彼の表情は見えないが、きっと寂しそうな瞳をしているのだろう。


そんな彼の元に歩み寄って来たスティングを確認するとレイピアを手放す。


その隙に剣を引き抜き斬りつけるが、既に其処から2人の姿は消えていた。




 「…何故殺さない!?」


防波堤の上に立つライアに問いかけるコウガ。


刃を突き出せば殺せた筈なのに、彼はそれをしなかった。




 「何故、か……君はまだ、死ぬ時ではないから、かな……」


林檎を投げながら曖昧な答えを返すと隣のスティングに治癒を施す。




 「でも多分、君の仲間は死んでるだろうね。クククッ……」


意味深な言葉を吐くと、不気味な笑い方をし背を向ける。




 「待て!お前は何者だ!?顔を見せろ!」


コウガの仇であるライアの素顔だけでも目にしようと引き止める。











< 326 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop