Blood Tear
接近戦を得意とするレオンには敵との接触も出来ず相手のみが遠くから攻撃を仕掛けてくる今の状態では分が悪い。
遠隔戦を得意とするこの敵は接近戦には弱い筈。
一気に敵の懐に潜り込み、遠くに逃がす前に接近戦に持ち込むのが得策。
そうと分かればすぐさま実行に移すのみ。
敵の居場所を把握した彼は木々の間をすり抜け駆けて行く。
彼の行く先を詠み矢は放たれるが、尋常ではない彼の速さにはついて行けない。
何本矢が放たれようと、それが標的に命中する事はない。
太い木の枝を両手で掴むと逆上がりの要領で回転し器用に枝の上に着地した。
一気に敵との距離を縮めようと枝を蹴るが、一瞬目の前が眩み足下がふらつく。
何も掴む物が無く、足を滑らせるとそのまま落下。
「…っててて……何だ……?」
背中を強打し顔を歪める彼は頭をかきながら考える。
「…毒、か……?」
地に刺さる矢を目にした彼は頬の傷を思い出し、独り呟くと一度目を瞑りゆっくり深呼吸をした。