Blood Tear


彼女を疑うべきではない。

自分が彼女を信じなくてどうする。

誰が何と言おうと、自分だけは味方になってやならければ。



しかし、心の何処かで彼女を疑う自分がいる。

疑ってはいけないと思う程、それは益々大きく膨れ上がってゆく。




 「フフッ…フフフフフッ………ハハハハハッ……」


突然、声をあげて笑い出すティムリィ。


口元に手を添え笑う彼女の様子を怪訝な顔をして伺うと、彼女は堪えるように笑みを消した。




 「ハァ…冗談はお止め下さいよシェノーラ様。私が人を殺した?そんな筈がないではないですか」


その言葉にホッと胸をなで下ろす。


良かったと、その言葉が零れそうになるのを耐え、シェイラは深く息を吐く。




 「両親を、従者達を殺したのは私ではありません。安心なさいましたか?シェノーラ様」


クスリと笑う彼女を目にし、シェイラは恐る恐ると言った感じで重い口を開く。










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