Blood Tear
目に見えぬ幾本もの弦が揺れ、シェイラの身体を傷付ける。
しかし、今は自分の身を気にしているどころではない。
弦の中に倒れて行き、勢い良く突っ込んだティムリィ。
彼女の現状を想像出来るが考えたくもない。
足元に生暖かい液体が触れ、見下ろせば床は一面赤い血で染まっていた。
血の滴る弦は赤く染まり、その所在を主張する。
目の端に映るティムリィの身体の一部。
恐る恐る顔を其方に向けるが、その視界は彼女の姿を目にする前に暗くなる。
「…見ない方が良い……」
耳元で囁かれた言葉で、何者かの手で視界を塞がれたのだと把握したシェイラ。
何時の間にか張り巡らされていた弦は取り除かれ、解放された彼女は後ろから回された手に触れると安心したのか頬を涙が伝って行った。
「…ジーク…私は……私は……」
彼女を救えなかった…
彼女を護れなかった…
彼女を理解してやれなかった…