Blood Tear
「ハァ……」
木材でできた古い小屋の後ろで重い溜め息を吐くレグル。
彼は一旦マット達の前から姿を眩まし身を潜める。
こちらの戦術が知られている以上、無闇に攻撃を仕掛けるのは得策ではない。
状況が悪すぎる今だからこそ冷静に判断しなければ…
赤く染まる腹部を押さえ、痛みに耐えながら短い時の中で思考を巡らす。
相手の戦術。
相手の行動パターン。
相手のスピード。
相手の反射神経。
全て把握できている。
では、取るべき距離は?
応戦できる戦術は?
何が有利で何が不利となる?
ほんの少しの間違いが命取りとなる今、様々なシュミレーションを慎重に頭の中で繰り広げる。