Blood Tear
鋼が何かにぶつかり鈍い音が鳴り響く。
彼の手に握られていたのは鞘に収まったままのロングソード。
レグルの突っ込んだ先は武器屋だったようで、目の前にあったそれを手に取ると振り下ろされた刃を受け止めたのだ。
驚いているのか首を傾げるアリュー。
彼女を気にする事無く受け止めた刃を弾くと鞘から剣身を抜き取った。
陽を浴び煌めく刃。
研がれたばかりのそれば鋭く切れ味抜群。
机の上に背を預ける状態となっていたレグルは抜いた剣を横に振るが、それは身をそらし交わされる。
それに目を細めたレグルはアリューの腹を蹴り身を起こすと、フラフラと後退する彼女を無駄の無い動きで斬りつけた。
「っと……」
様子を伺いに呑気にやってきたマット。
店の前に辿り着くと共に彼の胸の中に何かが飛び込んできた。
見下ろすと、其処には肩から腹部まで斜めに斬られ今にも機能停止しそうな状態のアリューの姿。
そして顔を上げると、ロングソードを手に歩み寄ってくるレグルの姿がすぐ其処にあった。