Blood Tear
怯えたように眉を潜め、落ち着き無く辺りを見渡す。
血に塗れた手は彼女を探すように宙をさまよい、青白い唇は震えていた。
レグルから離れたアリューはマットの元へと歩み寄り、幼い子供のように変貌した彼を抱き締める。
「…あぁ…アリュー……」
視界が霞み出したマットは彼女の頬に触れ、確かめるように手を沿わす。
アリューは何も言わず、彼の背に腕を回したままそれを受け入れる。
フラフラと一歩ずつ後退するマット。
いつの間にかある家屋の中に侵入していた2人。
安心したのか穏やかな表情を浮かべる彼は、アリューに押され背中から倒れ行く。
アリューは静かにマットを見つめ、マットは優しくアリューを撫でる。
そんな2人の傍に飾られていたツーハンデッドソード。
偶然か必然か、それは壁から離れ刃を地に向け落ちてゆく。