Blood Tear
時刻は夜の9時。
昼間急変した空は雨をもたらし、冷たい風と共に激しく降り続けていた。
自宅へと戻ったコウガは机に座り、小さな灯りの下ペンを進める。
そんな時、傍に置いてあったコップがカタリと静かに 揺れた。
何かを予兆するように起きた現象に眉を潜め微かに揺れる水を見つめていると、突然爆音が鳴り響く。
ガタリと地が揺れ灯りは消える。
静かだった外から聞こえるのは叫び声。
高く立ち上る黒煙にちらつく紅い炎。
町の異変に飛び出すコウガ。
目にしたのは荒れた町並みだった。
窓ガラスは割れ、売り物の果物は地に転がっている。
「何があったんです!?」
出会したアカリに訪ねるが、わからないと首を振る。
すると先程よりも大きな爆音が鳴り響く。
「町長の所からだよ!」
「一体何が……」
彼女に逃げるように言うと町長の元へと走り出す。