Blood Tear


 「くっ……」


唇を噛むクレアは両手で鎌の柄を握ると思い切り振り下ろす。


数本の短剣を振り払い鎌が地に突き刺さると、天へ向く柄の先をトンと押し飛躍。


短剣の並ばぬ地へと跳ぶが、距離が足りない。



舌打ちをする彼女は左手を突き出し、刃の並ぶその中に手を突っ込む。




 「うっ……」


倒立した状態となり左手に全体重を預けている為、刃は掌を貫通し鋭い痛みが身体中を駆け抜ける。


その痛みに耐えながら、反動を付け遠くへ跳び、刃の無い地面へと何とか着地に成功した。




 「お見事」


震える左手を押さえ荒い息を吐く彼女へと送られる拍手。

見上げれば、屋根の上から見下ろすフリードが楽しそうに笑いながら手を叩く。




 「でも、これはどうかな?」


彼が指を鳴らすと共に数え切れない程の短剣が宙に浮き、刃先をクレアへ向け漂う。 


それはあっと言う間にクレアの周りを囲み、逃げる隙を与えない。




 「さぁどうする?」


 「くっ……」


鎌は前方5メートル先。

それを取りに行く事すらできず、唇を噛むとフリードを睨む。










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