Blood Tear


攻撃を防ぐ為の武器も防具も何も持たず、丸腰の彼女は如何にしてこの現状を乗り越えるか。


思考を巡らすが、その隙すらもフリードは与えない。




 「刃の中で血に舞ってもらおうか、クレア」


高みの見物をしていたフリードは右手を一振り。


するとそれを合図に宙に浮く短剣は動きを見せる。


一斉にクレアへと刃を向け、猛スピードで彼女の身に降り注ぐ。




 「うっ…くっ……」


逃げ場を失っているクレアは身を縮め、胸の前にクロスさせる腕の中に顔を埋め耐える。


背中に、脚、腹、身体全体に突き刺さる短剣。


雨のように降り注ぐ攻撃が止んだかと思うと、身体中に突き刺さる短剣が一斉に引き抜かれた。




 「う"ぅっ……!」


身体中に激痛が走る。


血が溢れ、全身を真っ赤に染める彼女は膝を折り、両手を地につくと荒い息を吐いた。










< 406 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop