Blood Tear
攻撃を防ぐ為の武器も防具も何も持たず、丸腰の彼女は如何にしてこの現状を乗り越えるか。
思考を巡らすが、その隙すらもフリードは与えない。
「刃の中で血に舞ってもらおうか、クレア」
高みの見物をしていたフリードは右手を一振り。
するとそれを合図に宙に浮く短剣は動きを見せる。
一斉にクレアへと刃を向け、猛スピードで彼女の身に降り注ぐ。
「うっ…くっ……」
逃げ場を失っているクレアは身を縮め、胸の前にクロスさせる腕の中に顔を埋め耐える。
背中に、脚、腹、身体全体に突き刺さる短剣。
雨のように降り注ぐ攻撃が止んだかと思うと、身体中に突き刺さる短剣が一斉に引き抜かれた。
「う"ぅっ……!」
身体中に激痛が走る。
血が溢れ、全身を真っ赤に染める彼女は膝を折り、両手を地につくと荒い息を吐いた。