Blood Tear
丘を登り見えてきたのは小さな教会。
古びたそれが彼の目指す目的の場所である。
――明日の早朝、君が何か大切なものを失った場所にき なよ――
昨日のライアの言葉。
その言葉通り、コウガは大切な何かを失ったこの教会へと足を向けたのだ。
周りに咲き誇っていた筈の色とりどりの花々は枯れ、その姿は見るも無惨な状態。
以前のように華やかだったそれは面影もなく、見下ろす彼の瞳は悲しそうに細められた。
割れた窓硝子に焼け焦げた白い壁。
今にも崩れ落ちそうなこの教会の前で一旦立ち止まり、フッと息を吐くコウガは握っていた拳を開く。
そして右手を挙げその手を扉に添えると、意を決したようにそれを押し開いた。