Blood Tear
身を起こした瞬間に落ちた何か。
それは床を転がりコウガの足元まで辿り着く。
靴にぶつかり動きを止めたのは金色の綺麗な指輪。
回転しながら倒れたそれを見下ろすコウガは手を伸ばすが、触れる直前に声をかけられそれを拒まれる。
「ずっとこの日を待ってた……会いたかったよ…コウガ……」
聞こえてきたのは女性特有の高い声。
顔を上げると、前方には藍色の瞳に涙を浮かべ歩み寄って来る女性の姿。
その人物を目にした瞬間、コウガは大きくその目を見開いた。
「…アリ、ア……?」
驚きの表情を顔に浮かべ息を飲む。
距離を縮める女性はそんなコウガを気にする様子もなく、彼の胸の中に飛び込み抱き付いた。