Blood Tear
何処までも広がる青い空。
薄い雲はゆっくりと漂い、浮かぶ太陽は陰り無く煌めいた。
時折吹き抜ける風は草花を揺らし、舞う花弁は水面に着水する。
「ハァ……癒されますね、リオン様……」
「そうですね。しかしイース、少し食べ過ぎではないですか?」
緑豊かな自然の中、手作りの弁当を広げ昼食をとるリオンとイース。
幾つ目かわからぬサンドイッチを頬張るイースを心配するも、彼女は更におにぎりに手を伸ばす。
「止めぬか。それは我のものだぞ、手を出すな」
しかしその手は叩かれおにぎりは奪われる。
彼女からそれを奪いとったのはセルビア。
頬を膨らますイースへと舌を出す彼女は悪戯に微笑みながらおにぎりを完食した。
リオンの姉であるシエンを失って以降、共に日々を過ごしている3人。
今では互いに打ち解け、まるで昔からの知人のような関係となっていた。
心を開き話をし、ちょっとした事で笑い合い、時には喧嘩し涙する。
とても充実した幸せな日々を、3人は過ごす事ができていた。