Blood Tear
ラグナレア国に佇む立派な王宮。
その窓辺で羽を休める小鳥はウトウトと眠りについていた。
「レグル様、仕事もほどほどにしたらどうです?」
「…お前がそれを言うか……」
机に座り山積みの資料と睨めっこするのはこの国の王となったレグナード。
仕事熱心な彼をもっとリラックスさせようと声をかけるリョーガだが、資料の隙間から鋭く睨み上げられる。
「お前はもっと仕事をしたらどうだ?」
「仕事ならしてるじゃないですか。まったく人が悪いなぁ、レグル様は」
朗らかな笑みを浮かべたままのリョーガはハハッと笑ってみせる。
しかしレグルは彼の言葉に目を細めた。
「俺が知らないとでも思っているのか。お前が仕事だと出て行く先は――」
「あぁーー!そ、そうだ!頼まれていた重要な用事があったんでした!失礼しますレグル様!」
レグルの言葉を遮るように突然大声を上げたリョーガ。
動揺を見せる彼は言いたい事だけ言うと勢い良く部屋を飛び出していく。
「まったく……」
溜め息を吐くレグルは煙草をくわえるが、現在理由あって禁煙中の彼はその先に火を点ける事はない。
立ち上がり窓辺へと歩んで行った彼は頬杖をつきながら国の様子を見渡した。
国民の事を想う彼は誰からも愛され慕われている。
そしてその結果この国は豊かで平和なものとなり、争いも飢餓も差別も無い国となった。
だが彼はまだこれで良いとは思ってなどいない。
まだまだ問題など沢山ある。
だから彼は国の為に思考を巡らし行動を取る。
誰もが幸せに暮らせる国を目指して。