Blood Tear
何故だろう…
何か嫌な予感がする…
ひた走る彼の心臓は脈を早めていた。
息を切らし走り続ける彼は不意に浮かんだ嫌な光景を振り払うように頭を振る。
アリア…無事でいてくれ…
そう呟くと、彼は握っていた拳に力を込めた。
丘を駆け上がり見えてきた見慣れた教会。
しかしその教会を目にした瞬間、息をするのを忘れてしまうコウガ。
目を見開き、無意識の内に唇は開く…
力強く握られた拳からは力が抜け、脱力する身体は崩れそうになる。
彼が目にしたのは黒い煙が立ち上る教会。
窓からは赤い炎が揺れているのが見える。
辺りに咲いていた花々は燃え尽き、灰となり空を舞う。
「…アリア……」
小さく呟くコウガは固まった脚を前へと出し手を伸ばす。
扉を開けた瞬間、彼の頬に何かが飛んできた…
生暖かい、何か…
それが何なのか指で拭う。
拭った指に付いた物を目にした瞬間、彼は目を見開い た。
何故なら、彼の指には赤い液体が…
彼の頬に飛んできたのは、生暖かい真っ赤な血液…
「…ぅ゛……」
前方から聞こえた苦しそうな声に顔を上げると、彼は 更に目を見開く…
そして絶望の色に顔を染めながら呟いた…
「…アリ、ア……」
と…