Blood Tear
彼の目に映ったのは、紅い血に染まるアリアの姿。
胸には鋭い刃が貫かれ、刃の先からは血が滴り落ちる…
声のした方へ顔を向けた彼女の唇は、朦朧とした瞳で 捉えた人物の名を呼んでいた…
コウガ…と…
彼女を貫く剣を持つのは、フードを目深に被った黒い ローブの人物…
彼女の胸から剣を引き抜くと、新たに真っ赤な血液が 辺りに飛び散った…
その人物は崩れ落ちる彼女の黒髪を掴むと、燃え盛る 炎の中に放り投げる…
「アリア!アリアーー!!」
彼女の名を叫び腕を伸ばす。
だが、動けなかった…
彼女の元へ駆け寄れなかった…
伸ばした腕は彼女の腕を掴む事はなかった…
彼女の体を燃え盛る炎は包み込み、その姿は見えなく なる…
彼は叫び続けた…
涙を浮かべ、何度も、何度も、愛した彼女の名を…
彼の声は虚しく響く…
外では彼の流す涙のように、雨がシンシンと降り続いていた…