Blood Tear
目を開けると、そこは見慣れた景色だった。
灰色の天井に小さな窓。
黒いカーテンは風に揺れ、揺れる度に陽の光が部屋に差し込む。
気がつくとベッドの上にいたコウガ。
上体を起こすと激しい頭痛がした。
そして頭によぎったある光景。
燃え盛る教会…
鋭い剣…
滴り落ちる赤い滴…
そして、血に染まった女性の姿…
頭を抱えていた彼はベッドから起き上がると早まる 心臓を落ち着かせるように深く息をし足早に部屋を出た。
目指したのは丘の上の小さな教会。
彼は何かを祈るように拳を握り丘を登って行く。
その教会は、何事もなかったように佇んでいた。
色とりどりの花々は凛と咲き誇り、風にその身を揺ら す。
花々の傍を歩み、教会の前で立ち止まる。
ゴクリと唾を飲み込むと、そっと扉に手を添えた。
扉を開けると、目に入ってきたある人物…
「アリア…?」
教会の中の人物を目にした瞬間、彼はある名を口にす る。
その声に振り向く、ミディアムの黒髪にエメラルドの 瞳の女性。
彼女はコウガを目にすると柔らかく微笑んだ。