Blood Tear
幸せそうな4人の姿は消え、白い雲の流れる青い空、 風に靡く草原へと変化した景色。
眉を潜め辺りを見回していると、何処かへ歩を進めるリオンの姿が目に入った。
彼の歩む先にあるのは、何もない草原に佇む2つの石碑。
目的の場所までたどり着いたリオンはいつの間にか手にしていた花束をそっとその石碑に手向けた。
石碑、否、お墓のようであるその前に膝を折るリオンは胸の前で手を組み瞳を閉じる。
コウガの隣で座り込むセルビアはそんなリオンの姿を見ようとはせず、草をむしりながら呑気に欠伸をしていた。
今の状況に触れて欲しくないのだろう。
消してコウガとも目を合わさない。
彼女に聞かなくとも分かる。
リオンが祈りを捧げるこのお墓は、きっと彼の両親の物なのであろう。