Blood Tear


状況を把握したコウガは悲しい瞳でリオンを見つめる。



そんな彼の視線に気づく事なく、長い時間瞳を閉じた状態でいた彼はゆっくりと瞳を開いた。




 「僕は……僕は彼女を止めます……例えそれが間違っていようと……」


とてめ辛そうな瞳をして呟くと、突如突風が吹き荒れる。



突然の風に目を瞑ると、次に目前に広がったのは爆睡するレオンのいる薄暗い部屋だった。



彼のいびきが響く中、背後から感じる人の気配に振り返る。


そこに居るのは窓枠に腰掛ける赤髪の少女の姿。


彼女は脚をブラブラと揺らしながら大欠伸をする。




 「ハァ……悩みも解けた事だ、これで安心して眠れる だろう?我はこの辺で失礼するとしよう」


嫌味に笑う彼女はそう言うと背中から落ちるようにして窓から飛び降りる。


心配したコウガは窓枠から下を見下ろすが、彼女の姿は何処にもない。



悪戯好きの彼女に呆れ深く溜め息を吐くと疲れたのかベッドに腰掛けそのまま寝転んだ。



数秒の間天井を見つめていたが、強い睡魔に襲われ瞳を閉じる。



そしてそのまま眠りの中へと意識を手放した。










< 92 / 489 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop