Blood Tear


苦しそうな声をあげるレオン。


というのも、彼の口の中には林檎が丸々1個入っていたのだ。


馬鹿にされたように感じたクレアが彼を黙らせようと林檎を彼の口に突っ込んだのである。




 「ゲホゲホッ……何しやがる!?」


林檎を吐き出しクレアに食ってかかろうとするが、果 物ナイフを煌めかせ鋭く睨む彼女にその気持ちも覚め、彼女から目を反らすと林檎をひとかじり。


2人のやり取りに目を向けるイースは楽しそうに笑っているが、何処か悲しそうな顔をしていた。



時折扉へと目を向ける彼女。



彼女はこの場にリオンがいない事に不安を抱いていたのである。


昨晩の事もありリオンの事は気になっていたが、悲しい瞳をする彼女を安心させようと言葉を探していると…




 「なーんだ、雑魚ばっか」


 「…それは言い過ぎだよ、ナギちゃん………」


突然聞こえた高い声に4人の目が一斉に声の先へと向けられる。


視線の先に映ったのは、窓から部屋を覗く2人の少女の姿。


巫女装束に艶やかな黒髪。

1つに結った黒髪には鈴が装飾され、揺れる度に小さな音色が響く。


窓枠に行儀よく座る少女と、胡座をかき舌を出す少女。

正反対の性格のように見える2人だが、容姿は瓜二つ。


鏡に映したようにそっくりなのである。




2人を威嚇しながら戦闘態勢をとるコウガ達。


しかし少女2人は戦う気はないと言う。




 「今日は遊びに来ただけ。どんな奴が相手なのか目にしておきたかったからさ」


胡座をかいていた少女はもう1人の少女の手をとり言うと、そのまま手を引き窓から外へと飛び降りた。




 「待ちやがれ!」


言いたい事だけ言って逃げ出した2人。

雑魚と言われた事が頭にきた様子のレオンは窓枠に手をかけると2人を追うようにして飛び降りた。









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