Blood Tear
「処で、彼はあのままでよいのか?」
いつの間にか林檎を片手にしていたセルビアは窓の外へと視線を送る。
その先には少女2人を追いかける灰色の髪の男性、レ オンの姿。
「レオン……」
この町の人々に時折ぶつかり迷惑をかけながら駆けていく彼の姿を目にコウガは頭を抱える。
そして彼を止めに行こうと扉に手を伸ばしたが、何か気配を感じその手を引いた。
「おはよーございま~す!」
コウガが扉から数歩離れると、勢い良く扉は開きふざけた感じの男性の声が響く。
ニッコリ微笑みながら挨拶したのは、藍色の髪の男性 、ジーク。
片手を挙げる彼は左手に何か大きなものを抱えていた 。
じたばたと動くのそれはどこかで見覚えが…
ジークに抱えられるそれは、先程まで少女を追っていた筈のレオンであった。