Blood Tear
「この、離しやがれ!」
「「え!?」」
声をあげた彼の姿を目にした一同は驚きの声をあげ、窓の外、レオンと交互に視線を巡らす。
「幼女誘拐という名の犯罪を犯しそうだったので、手を出す前に捕まえたんですよ」
「誰が幼女誘拐だ!?俺は只情報を……ウワッ!」
5人の反応を目にし片手に持つレオンを揺らしながら言うとレオンはジークを睨みながら反抗する。
しかし彼は言葉の途中で悲鳴をあげた。
と言うのも、ジークは彼を掴む手を離し、そのまま床に落下したからである。
「何しやがる!」
「貴方が離せと仰ったんじゃないですか」
「っ……」
床に落ちた時にぶつけた額を抑えジークを見上げるが、彼は悪気のないように笑ってみせる。
彼の何ともいえない雰囲気に言葉を詰まらせ乱雑に頭をかくと、静かに微笑むコウガと目があった。
数歩後ろのクレアは冷めた瞳を向け、近くにいたリオンは心配そうな瞳をする。
リオンに寄り添うイースは涙を拭いながら笑い、椅子に腰掛けるセルビアはくだらないと鼻で笑うと窓枠に肘を載せ外を眺めていた。
5人の反応を目に恥ずかしくなったレオンはうっすら頬を染め目を反らす。
そんな彼に歩み寄るコウガは彼の灰色の髪を乱暴に撫で互いに笑い合うのだった。