Blood Tear


賑わう町中。
響く笑い声。
駆ける子供達。


3日程セルビアの世話になったコウガ達。


彼等の姿は華やかな町中にあった。




元気な子供達と戯れるのは子供に人気のレオン。

沢山の子供達が彼の周りに集まっていた。



木の幹に背を預けた状態で立つのはジーク。

彼は何か考えているのか険しい顔をする。



家々の間の日陰に隠れるように座り込むクレアは住人から貰った団子を頬張る。



そしてコウガはセルビアの家の前で彼女と向き合っていた。




 「もう行くのか」


コウガに声をかけたのは壁に背を預け腕を組むセルビア。


彼女はあまり外に出ないのか眩しそうな瞳をする。




 「あぁ。別に急いではないんだが、彼をそろそろ彼女の元に返さないと」


 「ラグナー家の娘とも顔見知りとは、本当に不思議だな、君は」


ハハッと笑うセルビアにシェノーラと知り合いなのかと問うが、彼女は会った事もないと言う。


自分は何でも知っていると胸を張る彼女は悪戯に笑ってみせた。




 「そうだ、伝えておいて欲しいのだが、あの死にぞこないの道化師に」


 「死にぞこないの道化師?」


 「そこのふざけた男の事だ」


何かを思い出した様子の彼女の言葉に疑問を抱いたコウガは首を傾げる。


すると彼女は腕を組んだまま顎で誰かを示した。


その先に居たのは、木の下で大欠伸をする紺色の髪の男性、ジークである。




 「直接言えばいいじゃないか」


 「我が言っても何も信じぬだろう?それに、正直我は彼が苦手なのだ。彼といると調子が狂う」


確かに彼女の言う通り、ジークは彼女の言葉を信じないだろう。

話しかけた所で彼が聞く耳をもつかもわからない。


昨日のように言い争うような事になるのならば、間に入った方が話が早い。




 「それで、何を伝えたら?」


仕方なく納得したコウガは溜め息混じりに言うと彼女 を促した。










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