キミに出会えた確率
『香恋・・・・・』



章輔は優しい声であたしを呼ぶ。




『まーた、泣いてる』




そう言って微笑んでいる章輔は、本当に強くて、カッコいいと思った。





「・・・ッ。だって・・・」





『嘘っ♪ありがとな、泣いてくれて』





「へ?」





あたしは思わずマヌケな返事をする。




まさか章輔がそんなこと言うとは思わなかったから。




『俺の為に・・・泣いてくれた?』




そう聞く章輔の顔はちょっと赤く色づいていた。




あたしはコクッっと頷いた。





『そっか。ありがとな』




章輔の大きくて暖かい手があたしの頭にポンと置かれる。





顔に熱を帯びているのが嫌でも分かる。
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