キミに出会えた確率
『そうそう、落ち込んでる香恋ちゃんに言いたいこと。
お節介かもしれないけど聞いてくれる?』


彼は相変わらず笑顔でそう言った。



「・・・はい?」



『嫌なことがあったらさ、思いっきり泣けよ?
泣いただけじゃ問題の解決にはならないけど・・・
それでも気持ちはすっきりする。

それからどうするかはゆっくり決めればいい。
香恋ちゃんは、1人じゃないっしょ?』





「結希・・・さん」



彼の言葉はあたしの心にスーっと入っていった。


驚くくらいに。


心が軽くなった気がする・・・。





『なんて・・・偉そうにごめんな?香恋ちゃんの笑顔が見たかったから』




そう言って照れくさそうに微笑んだ。



初めて会ったのに、なぜか懐かしく感じた。




不思議な気持ち。




『あ、章輔でいいよ。その方が呼ばれなれてるしっ』




ゆ・・・章輔はまくしたてるように言った。



「はいっ!!」



今度は心から笑えた気がする。



あたしを見て、章輔も安心したように微笑んだ。



ピリリリリ・・・・



そこで章輔の着信音が鳴った。



両手を合わせながら、




『悪りぃ。
そろそろ行かなきゃ・・・もっと話聞きたかったのに・・・
ごめんな』



と申し訳なさそうに謝った。



「あのっ、ありがとうございました!!
 ・・・章輔の言葉、嬉しかった」





偶然だったけど、章輔みたいな人に出会えて良かった。





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