風に恋して:番外編
「マリナ。自分を責めてはいけない。ごめんな?お前にも、つらい思いをさせてしまって……」

オビディオはマリナの涙をそっと拭ってくれた。優しい手つき、微笑みも、全部マリナを安心させようとしてのもの。

(どうして……)

なぜ、ヒメナもオビディオも自分に微笑みかけるのだろうか。

なぜ、泣いているのはいつも自分なのだろうか。

つらいのは、本当につらいのは、2人のはずなのに。

「どうして笑うのですか!?お姉様も、泣かなかったわ。どうして?私だって、それくらい受け止められます!」

本当は、知っている。

2人ともマリナの前でそんなことをしたら、マリナが罪の意識に苛まれてしまうと思っている。そして、きっとそれは正しい。今ですら、マリナはヒメナからオビディオを奪ってしまったような気分で心が重い。

「マリナ」

オビディオがマリナをあやすように背中を優しく叩いた。それ以上は、何も言わずに。

マリナも何も言えなかった。

2人が受け止めている現実を、自分だけが見ないわけにはいかないこともわかっていたから。
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