風に恋して:番外編
それでも、マリナは2人の間に自分が割り込んでしまったことに心が重くて。今思えば、ただそれを消したかっただけなのかもしれない。そんな、自己満足のものだったのかもしれない。
「マリナ、それは――」
「お願いします!」
マリナは渋るオビディオの腕をギュッと掴む。
今夜、ヒメナを城に招待することはオビディオにも父にもすでに許可をもらっていた。けれど、その本来の意図を告げるとやはりオビディオは苦い顔をした。
「お姉様は、私の前では泣いてくれなかった。でも、きっとオビディオ様には本当の心をお見せになるわ。だから、お願いします。最後でもいい。夢を見て欲しいんです」
オビディオはマリナの頭を撫でる。マリナを諭すときに、よくするその行為の意味は“NO”だろう。
「マリナ、確かに俺はヒメナを愛している。でも、お前のこともちゃんと愛しているんだ。だから、それはできない」
マリナは首を振った。オビディオがマリナを想ってくれていることはよくわかっている。でもそれは、ヒメナへの想いとは異なる類の“愛”だ。言うならば、家族を――妹を想うようなそれ。
「お願いします。私のわがままだって、わかっています。でも、お姉様のお心を少しでも癒して差し上げられるのは、オビディオ様しかいらっしゃらないの」
そう言いながら溢れてしまった涙を、オビディオはそっと拭ってくれた。
「……わかった。とりあえず、ヒメナには会うから。それでいいだろう?」
オビディオはため息をついてマリナの願いを聞き入れてくれた。優しいオビディオのことだから、このときはただ会うだけに留めるつもりだったのだと思う。
マリナもそれだけでも構わないと思った。ヒメナが本心を吐き出してから、カリストのもとへ行くことが一番の願いだったから。
「マリナ、それは――」
「お願いします!」
マリナは渋るオビディオの腕をギュッと掴む。
今夜、ヒメナを城に招待することはオビディオにも父にもすでに許可をもらっていた。けれど、その本来の意図を告げるとやはりオビディオは苦い顔をした。
「お姉様は、私の前では泣いてくれなかった。でも、きっとオビディオ様には本当の心をお見せになるわ。だから、お願いします。最後でもいい。夢を見て欲しいんです」
オビディオはマリナの頭を撫でる。マリナを諭すときに、よくするその行為の意味は“NO”だろう。
「マリナ、確かに俺はヒメナを愛している。でも、お前のこともちゃんと愛しているんだ。だから、それはできない」
マリナは首を振った。オビディオがマリナを想ってくれていることはよくわかっている。でもそれは、ヒメナへの想いとは異なる類の“愛”だ。言うならば、家族を――妹を想うようなそれ。
「お願いします。私のわがままだって、わかっています。でも、お姉様のお心を少しでも癒して差し上げられるのは、オビディオ様しかいらっしゃらないの」
そう言いながら溢れてしまった涙を、オビディオはそっと拭ってくれた。
「……わかった。とりあえず、ヒメナには会うから。それでいいだろう?」
オビディオはため息をついてマリナの願いを聞き入れてくれた。優しいオビディオのことだから、このときはただ会うだけに留めるつもりだったのだと思う。
マリナもそれだけでも構わないと思った。ヒメナが本心を吐き出してから、カリストのもとへ行くことが一番の願いだったから。