風に恋して:番外編
次の日の朝、マリナが目を覚ますとオビディオがベッドの淵に座ってマリナの頭を撫でていた。でも、その手つきはいつもと違って……

「オビディオ様……?」

薄っすらと目を開けると、オビディオは珍しく少し動揺したように視線を泳がせた。マリナが起きるとは思っていなかったらしい。

「すまない。起こしたな」

パッと手を離すオビディオに、マリナはすべてを悟る。でもそれは、マリナの望んでいたことだったから。

「やっぱりオビディオ様にお願いして良かった」

そう言って微笑むとオビディオの顔が少し歪んだ。

「マリナ、俺は――」
「言わないでください。いいのです。私が、そうして欲しいと頼んだのですから。そうでしょう?」

マリナはオビディオの胸に頬を寄せた。自分のせいで、罪の意識に苛まれるオビディオの顔を見たくないという、わがままな気持ちもあった。

自分は、ずるい。

「オビディオ様……もう1つ、わがままを言ってもいいですか?」

ずっと言おうと思っていたことだったけれど、今このタイミングでそれを切り出す自分はやはりずるくて。
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