風に恋して:番外編
「お姉様がお心を壊されたのも、エンツォがあなたたちへしたことも、本をただせば私の罪だわ」
「マリナ様、それは違います」

マリナの話を静かに聞いていたリアが、少し大きな声を出す。

「ヒメナ様は、マリナ様がくれた夢を大切にしていました。それが、ヒメナ様にとって支えだったんです。それを、罪だったなんて言わないで……」

リアが今にも泣きそうな表情でマリナを見つめている。そういえば、セストが言っていた。リアはヒメナの記憶を見たのだと。

「俺は、リアが巻き込まれたのは母上のせいだと思っている」
「レオっ!」

淡々と思うことを口にするレオ。マリナは視線を落とす。

レオの言う通りだ。マリナが軽率に2人を引き合わせてしまったから……

「でも……母上の選択が間違っていたとも思わない」

その言葉に顔を上げると、レオはその漆黒の瞳でマリナをまっすぐに見つめてきた。オビディオと同じ色の瞳には同じ優しさが映っている。
< 28 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop