風に恋して:番外編
本当は、わかっている。

最近リアのお腹の中が窮屈になってきたらしいルカは、頻繁にぐずって機嫌がよろしくない。大きなお腹で大変なリアの負担を少しでも軽くしてくれようと、レオはルカと遊んでくれる。

「わかってるよ。ルカは早く出てきたくてうずうずしてるから……」
「わかってないよ」

レオがリアの身体を仰向けにして、瞳を覗き込んでくる。

漆黒の瞳の奥の情熱にリアはドキッとした。いつになっても慣れないレオの熱。レオはそれをストレートに伝えてくるから……嬉しいのと同時に恥ずかしいと思ってしまう。

ゆっくりと近づいてくる端正なレオの顔。リアはそっと目を閉じた。

すぐに唇が重なって、レオが優しく舌を絡めてくる。

穏やかな口付けがしばらく続いて、唇が離れると2人は熱い吐息を吐き出した。

「ルカの相手はお前のためでもあるけど……」

レオがフッと笑ってリアの頬を撫でた。

「あんまり触れると止まらなくなるんだ。それは、お前も知っていると思っていたが?」

そう言ったレオはリアの額や頬へ口付けを落としていく。

「お前に触れられないのはつらいけど、ヤキモチを焼いてくれるなら……ルカにはまだしばらくお前のお腹の中にいてもらってもいい」
「も……バカ」

リアが小さく言うと、レオはやっぱり笑ってリアの頭を撫でる。
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