風に恋して:番外編
エンツォが診療所に入ると、たくさんの人々が診察を待っていた。季節の変わり目で、風邪が流行っているせいでこの小さな町に1つしかない診療所は大忙しだ。
そして、その診療所でたった1人のクラドール――リアも。
エンツォは静かに診察室へ入った。
「目を瞑ってゆっくり息をしてね。痛くないよ」
「うん」
そこでは、リアが母親に付き添われた小さな男の子に解熱の呪文を入れようとしているところだった。
熱があるせいで、少し呼吸が荒くぼんやりしている男の子は言われた通りに目を瞑った。
リアはその子の頭を優しく撫でてから、そっと腕をとり呪文を唱え始めた。
エンツォも目を瞑って、彼女の優しい気の流れを感じた。このときだけは……自分の罪も、許されるような気がするから。リアの穏やかな水属性の気の流れは、そのままそれを洗い流してくれるようだから。
「はい、おしまい。他に痛いところはある?」
「ううん。大丈夫!お姉ちゃん、ありがとう!」
すっかり元気になった男の子はパッと立ち上がって母親に抱きついた。
「ありがとうございました」
「バイバイ!」
頭を下げた母親が男の子の手を引いて出て行く。リアも手を振って彼らを見送った。
そして、その診療所でたった1人のクラドール――リアも。
エンツォは静かに診察室へ入った。
「目を瞑ってゆっくり息をしてね。痛くないよ」
「うん」
そこでは、リアが母親に付き添われた小さな男の子に解熱の呪文を入れようとしているところだった。
熱があるせいで、少し呼吸が荒くぼんやりしている男の子は言われた通りに目を瞑った。
リアはその子の頭を優しく撫でてから、そっと腕をとり呪文を唱え始めた。
エンツォも目を瞑って、彼女の優しい気の流れを感じた。このときだけは……自分の罪も、許されるような気がするから。リアの穏やかな水属性の気の流れは、そのままそれを洗い流してくれるようだから。
「はい、おしまい。他に痛いところはある?」
「ううん。大丈夫!お姉ちゃん、ありがとう!」
すっかり元気になった男の子はパッと立ち上がって母親に抱きついた。
「ありがとうございました」
「バイバイ!」
頭を下げた母親が男の子の手を引いて出て行く。リアも手を振って彼らを見送った。