風に恋して:番外編
――俺の言葉は、もう届かなくなってしまって。

すべてを思い出したときには、君とは離ればなれ。自業自得だって、レオは言うかな。俺も、そう思うけど。

君は、もう1度すべてを俺に与えてくれたのに。

笑顔も、優しさも、全部。

それなのに、俺は君に何もしてあげられない。奪うことしか、できなかった。

優しい君は、俺の記憶を変えたこと、きっと悩んでるだろうね。でも、君は俺を救ってくれた。運命に逆らうことを許してくれた。

それでも俺の風が、何かを与えるということはできなくて。

レオにも、君にも、“ごめんね”の一言すら届けられない。

それでも、あのときのように淡い期待を胸に、いつも待ってる。

君が、会いに来てくれるのを。
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