風に恋して:番外編
『いー!』

ルカの声が響いて、くるくると風が調合室に入ってきた。

「ルカ様、ここでは風を吹かせてはいけませんよ。粉が飛んでしまいます」
『んうぅ』

イヴァンに注意されると、ルカは唸る。イヴァンは苦笑した。

「研究室に戻りましょう。そっちでなら、吹いても構いません。エレナも、続きは後で大丈夫だから」
「あ……はい」

ルカのおかげで少し空気が緩み、イヴァンはホッとしながら扉を開けた。

すると、そこにはリアがルカを抱いて立っていて。

「ルカ!」
『まー』

少し怒っているようだ。

「リア様、どうなさったのですか?」
「ルカの風が吹かなくなったから……ごめんなさい、また邪魔をしてしまいましたよね?」

申し訳なさそうに言うリアにイヴァンは微笑む。

「いいえ、もう終わるところでしたし、エレナの手伝いもあるので大丈夫ですよ」
「リア様、こんにちは」

エレナは少し前へ出て、リアに挨拶をした。
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