風に恋して:番外編
「……好きなんです」
「え……?」

小さくと呟かれた言葉は、イヴァンの身体に大きく響いた。

「イヴァンさんに会いたくて、このお城にも来てるんです。今日だって、無理に報告の役を変わってもらって……」
「エレナ、それは恋じゃないよ。今まで周りにいなかった年上の男に憧れてるだけだ」

そうでなければ――

「違います!私、イヴァンさんのこと本気で――」
「エレナ、俺は一回りも年上だよ?」
「年齢は関係ない!」

エレナは少し大きな声を出した。また、涙が頬を伝う。

「それとも、私みたいな子供は相手にできないってことですか?迷惑なら、ハッキリ言って下さい!」

そうでなければ、期待してしまう――

「……っ」

イヴァンはエレナを直視できなくて、顔を伏せた。
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