【完】まりあ ~人魚姫の涙~
「9時です」
「んっ…。まだ時間があるからもうちょっと、寝よ?」
そう言いながら布団に潜る敦さんがいつもより幼く見えて、思わずクスッと笑ってしまった。
男の人と泊まるなんてした事なかったけれど、でもこうやって男の人と一緒に寝るのも楽しいものなんだね…。
なんて浅はかな考えをしながら、ふと昨日の出来事が頭を過ぎった。
折角、幸せな気分だったのに一気に気分は急下降。
今日の撮影は、裕也さんの撮りはないけれどいるのかな?
そんな心配をしながらスマホの目覚ましがなるまでずっと、二度寝する事の出来なかった私は裕也さんの事を考えていた。