恋するマジックアワー
さむーって言いながら、朗らかに微笑む留美子。
「ごめんね留美子。いつまでも居座っちゃって……」
「うちは全然平気だよ。 ママたちも蒼空も、海ちゃんいてくれて喜んでたし。でも……沙原っち怒ってるんじゃない? 置手紙しかしてないんでしょ?」
「……」
1度、洸さんがいない時を見計らって、必要最低限のものは持ち出していた。
その時に、手紙を置いてきたんだ。
「平気。 学校始まるまでパパのところに行くって書いてきたから」
もちろん、パパのところには行っていない。
もし本当に帰っていたなら、一緒にすんでるのが愛さんじゃないことを隠し通せる自信がなかった。
「……それで、もう大丈夫?ちゃんと帰れる?」
そう言ってわたしを覗き込んだ留美子。
その顔は、本当に心配してくれていた。
「大丈夫! いつまでもこのままじゃいけないし。それに、時間置いて自分の気持ち、整理できたから」
安心させるように笑ってみせると、留美子は小さく眉を下げた。
もしかしたら、留美子にはわたしの本当の気持ちがわかっちゃってるのかもしれない。
だって……