恋するマジックアワー(仮)
「あのさ」
しばらく黙っていた牧野の声が、少しだけ掠れて届く。
顔を上げると、まっすぐにこちらを見つめていた牧野と視線がぶつかる。
「それ、俺やるみにくれたやつと違うけど……」
「えっ!? え、っと……その、」
「本命ってやつ?」
「…………」
うわ、なんかヤな感じかな。
中身は、同じなんだけどな……。
上手く出来たのを選んで包んだことに、少しの罪悪感が生れた。
なんと言っていいかわからずに黙っていると、牧野が小さく息を吸い込んだのがわかった。
「っとに。なにしてんだよ。はやく渡しにいかねぇと学校しまっちゃうぞ」
「……うん」
そうなんだけどね?
それが、渡すの難ありの人で……。