恋するマジックアワー

「それで? なんでここにいるの、海ちゃんが」

「…………」



挙式が終わり、披露宴を待つ間。
ロビーのソファにドカッと座った洸さんは、ジロリとわたしを見上げた。

か、顔がいいから、余計怖いんだけど……。



「えーと……その」



捕まる前に逃げようとしたわたしは、まんまと洸さんに捕まっていた。


「俺のあと、つけて来た?」

「……はい」



コクリと頷いて、肩を落とす。


怒ってる……。そりゃあ怒るよね。
勝手にあとつけられたら……。



「ったくもう。俺、超焦って大声出すとこだったわ」

「……え?」



ビックリして大声出す洸さん?
なにそれ、ちょっと見てみたかも。



「笑い事じゃない」

「……はい」



ちょっとだけ笑ったのを見逃さなかった洸さん。
キッと睨まれてしまった。


「なんでそんな事したの」

「それは……」

「それは?」

「……で、デートとか…お見合いだったらどうしようって……気になって」



ウソついてもダメかなって、そう思った。
バカだって、また呆れられちゃうよね。


< 170 / 194 >

この作品をシェア

pagetop