恋するマジックアワー
わたしだって変わりたい


ピンク色の淡い花びらが、頬をかすめた。
桜咲く、4月。

今日から新学期。
わたしたちは、高校3年生になった。



「海ちゃーーん」



下駄箱で、靴を履き替えたところでまるで小鳥のような軽やかな声が飛び込んできた。
マロンブラウンのボブを揺らして嬉しそうにわたしの顔を覗き込んだのは、留美子だ。


「あ、留美子おはよ」

「わたし、幸せすぎて怖いよ海ちゃん!」

「え?」


いつになくハイテンションの留美子はぎゅっとわたしの腕に、自分のを絡ませた。


「なに? どうしたの?」


なんども瞬きを繰り返すわたしに、留美子は「だって~」と一歩先に歩み出た。


「だって、海ちゃんと同じクラスなんだもん!ついでに翔も」

「ふふ、わたしもうれしい」


そう言って、にこりと微笑めば留美子はさらに嬉しそうに笑った。

新しい教室。
新しいクラスメイト。

今日からまた、新しく始めるんだ。
そして、高校最後の一年。


わたしは、ふうとひとつ大きく息を吐いて、先を行く留美子の背中を追った。


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