恋するマジックアワー
その日の夕方。
ひとりきりのキッチン。
今日はハンバーグだ。
こうしてこのキッチンでご飯を作ることがすっかり当たり前になっている。
洸さんと一緒に食事をすることは、あまりない。
でも、タイミングが合えば二人でテーブルを囲むこともある。
それも自然に。
ボールの中のひき肉をこねながら、ふと考える。
この生活は、長くてもあと1年。
1年で終わってしまうんだ……。
その間に、わたしは洸さんの事、忘れられるのかな。
忘れなくちゃ。
大丈夫。きっと出来るよ。
自分にそう言い聞かせ、「よし」と小さく息をはいた。
と、その時だった。
玄関のドアが開いた気配がして、慌てて手を洗う。
時計を見ると、まだ18時をまわるところだった。
「洸さん?」
リビングから顔を出すと、スーツ姿と寝ぐせ頭っていうアンバランスな姿の洸さんが鍵をかけたところだった。