恋するマジックアワー
ふたりきりの保健室
体育館の中は熱気であふれかえっている。
今日は毎年恒例のクラスマッチ。
毎年恒例だけど、高校最後の今年はいつもとは少し違っていた。
「いいか、絶対優勝するぞ!」
「お前ら俺らの足引っ張んなよ!」
「うるさい男子! それはこっちのセリフなのよ」
そう。男子と女子のバスケ混合試合なんだよね。
しかも優勝したクラスには特典付き。
「はあ……学食免除とか誰が決めたんだろ」
小競り合いをしているクラスメイトたちを横目に、留美子が盛大にため息を落とす。
高い位置で結んだ淡い栗色の髪が揺れる。
そこには、鮮やかなブルーのリボンが結ばれていた。
「よし!できた」
「ありがとう、留美子」
「海ちゃんのポニーテールって新鮮。めちゃくちゃ可愛い~」
「えっ、そ、そうかな?」
たしかにいつもは下ろしっぱなしだし、結んでるの久しぶりかも。
留美子と同じように結んだ髪。
うちのクラス全員、青いリボンを体に身に着けていた。
女子は髪につけてる子がほとんだけど、男子は……。
「ね?三嶋もそう思うでしょ?」
「えっ!?」
え? 三嶋?