恋するマジックアワー
「海!ほんとに……ほんとーに大丈夫なのかっ」
そう言って今にも泣き出しそうに唇を噛んだのはパパ。
そのセリフ、何度目だろう……。
はあ。と小さくため息をついて、わたしは手に持っていたキャリーバッグを置いて、くるりとパパと向き合った。
「……パパ!
大丈夫だって。学校だって今までと同じなんだし、ここから通うより近いんだから。それにちゃんとパパの条件も飲んだよ、わたし」
「そうだな……でも、海が心配なんだ」
そういうとパパは、とうとうメガネをはずしてしまった。
そんなパパの隣で新しい奥さん、そしてわたしの新しいママになる、真帆さんが穏やかに微笑んでいる。
苦笑いのわたしに目配せすると、小さく頷いてみせた。