恋するマジックアワー(仮)
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「立花!」
「三嶋くん! おはよう」
たくさんの人が交差する駅のロータリー。
その中でもひときわ背の高い三嶋くんは、とっても目を引く。
片手をあげて笑顔を零した三嶋くんに駆け寄った。
今日は土曜日。
結局あたしは三嶋くんと出かけることにしたのだ。
あの日の翌日。
みんなの前で誘ったことを謝られ、パフェが食べたいのだけどどうもそこは男だけで行くには抵抗があるとかなんとか……。
それであたしに一緒に行って欲しいってことらしかった。
デートって言ったのは、女子とふたりで休日に出かける=デートだって思ったからなんだって。
嫌な気持ちにさせてたらごめんって、そういわれてしまったのだ。
思い返してみると、男子とふたりでどこか出かけるのって初めてかも。
牧野と留美子といつも3人だったし。
「なんかめちゃくちゃ並ぶらしいから、先に予約しといた」
「へえ! 人気のお店なんだね。何時から?」
ショルダーバッグからスマホを取り出すと、時間を確認してあたしに向ける。
どれどれ、と覗くとそのお店は最近テレビでも紹介されていた場所だった。
「あ、このお店知ってる! あたしも行ってみたいなって思ってた」
「マジ?よかった。 昼からになちゃうから、その前にどっかで時間つぶそ」
「うん」
無邪気な笑顔を向ける三嶋くん。
真っ白な無地のTシャツに真っ黒なスラックス。
モノトーンでまとめた彼の腕には、ごつめの腕時計。
おしゃれなんだな。
あたしよりも頭一つ分高い彼は、真っ黒な髪をさらさらと風に遊ばせて嬉しそうに笑う。
いやぁ……爽やかだ。
パフェが食べたいけど恥ずかしいなんて、かわいいところあるな。
ギャップがすごい。
なんてことを考えていると、視線を感じて顔を上げた。
見上げると、三嶋くんはじっとあたしを見下ろしていて……。
「なに?」
「あ、ごめん。 私服姿、新鮮だなって」
「あぁ、それは三嶋くんもだよ」
あははって笑うと、三嶋くんはほんの少し頬を染めて視線を逸らした。
「いや、それは可愛すぎるって……」
「え?」
手の甲で口元を隠したままなにか言った三嶋くん。
その言葉はあたしには届かなくて、首を傾げた。